ニチコンは30日、東京大学生産技術研究所との間で、産学連携の研究協定を結んだと発表した。1億円の研究基金をニチコンが拠出。複数の研究を進め、スマート社会に対応する同社製品の高機能化につなげる。同社の武田一平会長は同日の会見で「ビッグデータなどの活用で開発スピードを上げ、品質面やコスト面で競争力を高めていく」と強調した。
同社は、電気を蓄えたり放出したりする電子部品、コンデンサー大手。今後、SiC(シリコンカーバイド)のような次世代パワー半導体が実用化されると、「既存技術の延長線上では使えない」(武田会長)ことから連携に着手。電気自動車(EV)用急速充電器の小型化や家庭用蓄電システムとのネットワーク化などを目指していく。
また、研究開発を効率的に進めるため、一般的な産学連携のように、あらかじめテーマを設定し企業側が資金を提供するのではなく、基金の範囲内で柔軟に複数のテーマを設定できるようにした。これに伴い、両者で構成する運営委員会を設置。研究基金の配分や研究開発の進捗(しんちょく)状況の確認などを行っていく。
同研究所の藤井輝夫所長は「若い人材の育成に加え、新しい未来技術の開発など、息の長い研究に取り組んでいく」と述べた。