
接客するBJI行員。Jトラストは適正な業務運営に対する意識の醸成に取り組む【拡大】
■黒字体質へ企業文化刷新
「部長の半分、役員も大半が1年生」。Jトラスト銀行インドネシア(BJI)に2015年11月に入り、16年12月に頭取に就任した安藤律男氏は笑いながらこう話した。
BJIを買収したJトラストが重点的に取り組んだのが企業文化の刷新。旧体制から脱却し再生するには不可欠と考えたからで、人材を入れ替えるため希望退職を募る一方で、優秀な金融マンを次々とスカウトした。
◆年功序列壊す
率先して動いたのが安藤氏だった。アコムインドネシア銀行で頭取を務め、13年には「インドネシア銀行ベスト頭取賞」を受賞した安藤氏は89年からインドネシアで金融ビジネスに携わってきた。同国在住は約27年になり、インドネシア語を流暢(りゅうちょう)に操る。官庁や中央銀行に行っても公用語を使えるため「話が伝わりやすく受け入れも早い。何よりも好印象を与えられる」のが強みだ。
同国金融界での人脈を生かし優秀な人材をヘッドハンティング。その数は50を超え、BJIの主要ポストに配置。年功序列を壊した。「居心地が悪くなる古い人からやっかみが出てくるが、BJIの新しい文化をつくるため」と意に介さない。
Jトラストの浅野樹美常務は「人材を引き抜くだけでなく顧客も連れてきた」安藤氏に厚い信頼を寄せる。安藤氏が連れてきた通称「4人組」の一人で営業担当取締役のブディ・ティー・ハリム氏のチームは16年に小口融資(1億~5億円)を240億円積み上げた。
ポートフォリオの組み替えの一環として大口融資などを減らしながらもトータルで営業資産残高を100億円増やした。「17年の黒字体質への転換の布石を打った」と浅野氏は評価する。