豆腐業者が苦境に立たされている。経営者の高齢化に安売りが追い打ちを掛け、廃業も後を絶たない。小売業者が不当に安い納入価格を要求するような悪習が一部で残っており、農林水産省は食品では初めて豆腐・油揚げについて適正取引を推進する指針を作り、5月末に豆腐業界に説明。品質向上に注力できるよう後押ししている。
厚生労働省によると、豆腐を製造する事業所数は2015年度末時点で7525と、06年度末から4割減った。業界団体の全国豆腐連合会(東京)は、作って自ら売る家族経営の店の廃業が目立つと指摘し、安売りによる疲弊も一因とみる。
総務省の家計調査では、消費者が買った豆腐1丁当たりの価格は約20年前に100円を超えていたが、大豆相場は高水準なのに今や70円前後だ。量販店の特売対象になりやすく、20円ほどのセールも確認したという同連合会は「原料高を価格に反映できない」と嘆く。