
天使のブラ新製品の開発に携わった毛利美由紀さん(左)と野口恵さん=東京都中央区【拡大】
しばらくして、1回目の試作品がトリンプ香港本社にあるサンプル室から届いた。確認すると、メッシュ生地は柔らか過ぎてカップの形を保つことができず、乳房の重みで生地が伸びてしまう。天使のブラに必要な「胸の高さ」が作れず、胸が潰れる。アンダーバスト部分をすべて伸びるようにしたことでカップは左右に引っ張られ、胸の形を崩してもいた。
メッシュ素材を生かすため、毛利さんが着目したのは乳房を支えるワイヤ形状だった。U字形のワイヤ両端の幅が広い方がいろんな体型の人に合うブラジャーに仕上がるが、試作では胸の形が潰れてしまった。両端の幅を狭くすれば胸の形を保てるが、すべての体型に合わせることが難しくなる。複数の候補の中から、試作に使ったワイヤと比べて少し狭めで、脇側が直線的なワイヤを採用した。
試作を続ける中、新規にパターン(型紙)を起こすことも決断した。「基本パターンの改良だけでは足りない。メッシュ素材を生かそうとすれば、基本パターンの持つ“前に突き出すような胸の高さ”は出ない。そこで、バストトップを高くなるようなパターンを引いてもらった」(毛利さん)。カップ生地の伸び止めに、外側のレースとメッシュ生地の間に薄布をかませた。16年5月、7回目の試作で製品の基本スタイルができあがった。パーツ点数が30弱にまで減った新たな天使のブラは従来品に比べて軽く、カップの通気性は3.5倍になっていた。