革新機構や政投銀が東芝の再建スキームにかかわっているのは経済産業省が日本の技術流出を防ぎたいという思いからだ。しかし組んだ相手はその正反対。SKはかつてスマートフォンなどに使われる記憶用半導体「NAND型フラッシュメモリー」の研究データを不正に入手し、2億7800万ドル(約330億円)を支払って和解した会社だ。まさに同床異夢のコンソーシアムだといえよう。
その上、これまで半導体事業で提携していた米ウエスタン・デジタル(WD)が5月14日にパリの国際仲裁裁判所に売却差し止めを求めて提訴。売却交渉は膠着(こうちゃく)状態に陥っている。事態の打開に向けた動きもみられる中、東芝は今後、どのような対応を取るのか、周囲は注目している。
◇
【プロフィル】松崎隆司
まつざき・たかし 経済ジャーナリスト。中大法卒。経済専門誌の記者、編集長などを経てフリーに。著書は多数。7月7日には新著「東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人」を出版。54歳。埼玉県出身。