東芝、区切りも続くいばらの道 訴訟リスク、独禁法審査、「稼ぐ力」弱体化


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 東芝が半導体子会社「東芝メモリ」の売却で「日米韓連合」と正式契約し、迷走し続けた売却交渉に区切りを付けた。ただ訴訟リスクを抱えるなど待ち受けるのはいばらの道だ。

 東芝が子会社売却を急いだのは来年3月末までに売却益によって債務超過を解消し、上場維持を図るためだ。契約締結は経営再建の第一歩といえる。

 だが四日市工場(三重県)で協業する米ウエスタン・デジタル(WD)が売却差し止めを求め国際仲裁裁判所に提訴している。仲裁裁がWDの主張を認めれば、売却自体を無効と判断し、契約が白紙に戻る可能性がある。

 一方、来年3月末までの売却完了に間に合わせるには、その前に各国の独禁法審査を通過する必要がある。その期間は通常半年とされる。東芝メモリと、競合する韓国半導体大手のSKハイニックスを一体と捉えれば世界市場の占有率は計30%弱。半導体産業の振興に力を入れる中国で審査が長期化するようなら時間切れになりかねない。

 こうしたハードルを乗り越えても、虎の子の半導体子会社の売却で、東芝の「稼ぐ力」は一気に弱体化する。2017年4~6月期の連結営業利益966億円のうち、半導体事業は約93%を稼ぎ出した。今後は、社会インフラ事業などを柱にして生き残る青写真を描くが、「大きな利益は期待できない」(東芝幹部)ため、新たな成長モデルを早急に示さなくてはならない。

 さらに、危惧されるのは財務リスクの“爆弾”が残っていることだ。東芝は13年に米国産液化天然ガス(LNG)を20年間にわたって年間220万トン仕入れる契約を締結した。しかし契約当時に比べて原油価格が下落したためLNGが割高となり、販売先探しが難航。最大約1兆円の損失が発生する恐れがある。

 再び債務超過に転落すれば深刻な危機となるのは必至で、東芝の経営はなお綱渡りを強いられる。(柳原一哉)

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