ルールは「守るもの」ではなく「つくるもの」 ヤクルト、ダイキンが欧州で成功した理由 (1/5ページ)

 「ルールメイキング戦略」の欠如が敗因

 高い技術力を持つ日本企業が、グローバル市場で海外企業に負けてしまうケースは少なくありません。その1つの理由として、「ルールメイキング戦略」の欠如が挙げられます。

 今日のビジネスでは、イノベーションが重要なテーマとなっています。イノベーションとは、世の中にないものを生み出し、社会に広く普及させることです。そのためには、消費者に欲しいと思わせるだけでは十分ではありません。その製品・サービスが市場に受け入れられるためのルールが必要です。イノベーティブなものほど、既存のルールによって、あるいはルールがないために、市場への参入を止められる可能性があります。特に近年は、テクノロジーの急速な進歩により、既存のルールでは対応しきれないケースが増えています。例えば、ドライバーを必要としない完全自動運転の実現を目指した技術開発が進んでいます。しかし、事故を起こした場合の責任の所在など、法制面の整備はこれからです。ルールが整備されなければ、せっかくの新技術も普及させることはできません。

 また、ドローン(小型無人飛行機)の配送への活用にも期待が寄せられていますが、安全面の規制とどう折り合いをつけるかが課題となっています。広がりを見せているシェアリングエコノミーも、ルール整備や規制と無縁ではありません。日本では、ウーバーに代表されるライドシェア(相乗り)サービスは、法律により原則禁止されています。このように、イノベーションは、ルールの問題を顕在化させます。イノベーションを実現するには、ルールもセットで考える必要があるのです。

ルールは「守るもの」ではなく「つくるもの」