■實地應用ノ素ヲ養フ
中央大学が「英吉利法律学校」として、今の東京・神田錦町に創立されたのは1885(明治18)年。創立者には、イギリスの法曹養成機関「ミドルテンプル」に学んで「Barrister at Law」の称号を受け、「法廷弁護士」となった増島六一郎(ますじま・ろくいちろう)=初代校長=をはじめ、穂積陳重(ほづみ・のぶしげ)、岡村輝彦、土方寧(ひじかた・やすし)、アメリカのボストン大学ロースクールで日本人初の学位を取得した菊池武夫=第2代東京法学院長・初代中央大学長=など、新進気鋭の法律家たち18人が名を連ねていた。
当時の日本の法学界ではフランス法が主流だったが、中央大学の創立者たちは、抽象的体系性よりも具体的実証性を重視し、実地応用に優れたイギリス法についての理解と法知識の普及こそが、日本の独立と近代化の達成に役立つと考えた。
「實地應用ノ素ヲ養フ」という建学の精神はここに発し、中央大学の伝統である「実学教育」に結び付いている。
「実学教育とは、決して表層的な技術教育ではなく、知識や技能をもとに知性を磨き、その知性を社会のために発揮する力を養うことを意味しています。それは今日、多様な学問研究と幅広い実践的な教育を通して『行動する知性。-Knowledge into Action-』を育むというユニバーシティー・メッセージとして受け継がれています」(福原紀彦学長)