一方、都内の銀行系調査機関関係者は「今後金融機関が独自に導入するのは難しい。非常に高リスク(高金利)な企業でない限り、融資で得られる金利に対して、この作成費用は見合わない」と指摘する。例えば30万円の作成費用は融資額3000万円の1%分にも相当する。
作成者側は正反対の意見だ。ある受託者は「特許庁の仕様で30万円は安過ぎる」と言い切る。ただ「金融機関との関係を構築し、優良な中小企業顧客の開拓につなげられれば」との本音も漏れる。実際、知財に目覚めた中小企業から直接依頼も増えたという。
「事業終了後は民間で引き継いでもらえたら」と特許庁幹部は期待する。期間限定は財務省との間で予算折衝時点から決められていた。普及支援課の小林英司企画調査官は「何度も応募される金融機関もあり、試行期間は終わったと感じる。金融機関と中小企業が自立的に知財に取り組めるようになるには何ができるのか、検討していきたい」と話した。(知財情報&戦略システム 中岡浩)