子育て女性を支援する制度が充実する大手企業の一部で、休暇などの制度拡充だけに注力する方針を見直す動きが出てきた。休職者の代替要員が手当てできず、周囲の負担が増える職場も出てきたためだ。誰もが「損をしている」と感じないで済む働き方とは何か。政府が女性活用促進を打ち出す中、企業に工夫が求められている。
制度見直しの動き
「ワーママ(ワーキングママ=働くお母さん)は優遇されてカバーする私たちが損をしている」。情報関連企業の地方支社で働いていた30代の女性は話す。子供2人を持つ同僚女性は産前・産後の休業と育児休業を繰り返し復帰後も残業は免除。子供が病気になれば急に休む。
仕事は周囲がカバーし、代替要員は来ない。支社には独身女性に男性、子供を持つ父親もいて私生活を大事にしたいのは皆同じ。「大変なのは分かるけど、職場では一人前に働いて」と言いかけた文句は、彼女の机に置かれた子供の写真を前に、のみ込まざるを得なかった。
多くの企業で支援制度が拡充された一方、周囲の社員への対応は後手に回りがちだった。子育て中の女性にも会社でのキャリアは追求してほしい。近年こうした課題が浮き彫りとなってきたため、一部企業は制度の見直しを始めた。