【局アナnet】奇跡のピアノは復活するか 清水のぶよ

2014.12.6 15:00

清水のぶよアナ

清水のぶよアナ【拡大】

  • 戦火をくぐりぬけたスタインウェイのグランドピアノ
  • 計画に賛同する演奏家ら。左からピアニストのマリオ・ヘリングさん、評論家の紺野等さん、ピアニストのモナ=飛鳥・オットさん

 90年以上も山口県宇部市で子供たちを見守り続けているピアノがあります。宇部興産の創業者で市の発展に貢献した故・渡邊祐策氏を称えた「渡邊翁記念会館」に保管されているスタインウェイ・アンド・サンズ社製のグランドピアノです。

 1922年にドイツで製造され、翌年に渡邊氏や後の宇部市長など20人によって市内の小学校へ寄贈されました。実はこのピアノ、壊れていて数年前に廃棄処分が真剣に検討されていました。そこで2012年、一般社団法人SAKI-DORIプロジェクトを中心に「伝説のピアノ復活計画」として支援の呼びかけを始めたのです。

 戦時中、空襲のさいには教師たちの消火活動で奇跡的に焼失を免れ、戦後は国内外の有名アーティストが演奏してきました。市の復興の象徴でもあるピアノを何とか再び現役に復帰させたい、という思いに賛同した海外演奏家によるチャリティーリサイタルも開かれています。

 2014年12月現在で約50万円が集まりましたが、修復に必要な額は約500万円。まだ、遠い道のりです。

 現存する弦が発する優しい鐘のような音は、戦火をくぐり抜けたピアノに込められた先人の想いのよう。なんとか後世に繋いでほしい、と願います。

<プロフィル>

 しみず・のぶよ 山口県出身。FMきらら、山口朝日放送などで活動し、現在は広島県でフリーアナウンサーとして活動中。

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