【書評】『盗作の言語学 表現のオリジナリティーを考える』今野真二著 (1/2ページ)

2015.9.13 15:49

(集英社新書・720円+税)

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 ■追求は不可能に近いけれど

 先日アメリカの著名な現代美術家、リチャード・プリンスが、ある作品を発表した。SNS(会員制交流サイト)に投稿された他人の写真に自らのコメントを付け加え、それをそのままアート作品にしたのだ。その行為は、誰もがインターネットを通じて簡単に全世界に発信ができる現代における創作や著作権のあり方を問いかけて話題となった。表現に携わっている身として考えさせられることも多く、そんな折、この本のタイトルが目を捉えた。

 私は、世界のさまざまな都市を地図化するという作品を作っている。それらは正確な情報を伝えるための地図ではなく、自らがそこに滞在し、撮影した何千枚の写真をコラージュして作った足跡と記憶の地図だ。

 作品は、例えば東京であれば東京タワーや隅田川、パリであればエッフェル塔や凱旋門(がいせんもん)といったような私たちが持つ共通認識に基づくシンボリックなアイコンや地形によって構成される。同時に旅の中で目にしたものや出会った人々など、パーソナルな視点の写真も含まれている。既存の地図を土台にしつつ自分だけの地図を作っているという点で言えば、私の作品は地図の〈本歌取り〉的表現ともいえるだろう。

表現することの意味や背景について考えを深めさせてくれる

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