多世代が共生して交流を目指す複合マンションなどが増えている。学生や子育て世帯向けマンションと高齢者施設などを同じ敷地に併設し、交流イベントなどを通じて室内に閉じこもりがちな高齢者の社会参加につなげる試みだ。若者から高齢者までが共生する発想は、政府が検討する高齢者の地方への移住を促す「日本版CCRC構想」にも取り入れられるなど注目を集めている。(栗井裕美子)
「若返る」
昨年12月、有料老人ホームや学生向け賃貸マンションなどが併設した集合住宅「グッドタイム リビング なかもず」(堺市北区)の交流サロンで餅つき大会が開かれた。入居する高齢者や学生ら約40人が参加し、高齢者も餅つきを楽しむなど盛り上がった。
有料老人ホームに入居する中務武市さん(87)は「杵を握るのは久しぶりで楽しかった。学生と一緒に時間を過ごすと若返る」と喜び、大阪府立大1年の鈴木円香さん(21)は「老人ホームの部屋によく遊びにいっておしゃべりする。一緒にいるだけで楽しい」と話した。
「なかもず」はオリックス不動産が開発し昨年6月にオープンした。地上5階建ての建物に、近くの大阪府立大の学生約60人と高齢者約60人が暮らしており、診療所も完備している。月に1回程度、高齢者と学生の交流イベントを開いている。