海外臓器移植、保険給付へ 厚労省が月内にも通知

加藤勝信厚労相(斎藤良雄撮影)
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 加藤勝信厚生労働相は12日の記者会見で、海外渡航して臓器移植を受ける患者に対し、公的医療保険から一部の費用を給付する方針を決めたことを明らかにした。厚労省が今月中にも健康保険組合などに通知し、実施に移す。海外での治療費を加入先の医療保険から払い戻す「海外療養費制度」を活用する。

 対象は、日本臓器移植ネットワークに登録し、待機の状況から生命の維持が危ぶまれるなど一定の基準を満たす患者。保険給付されるのは、国内で移植手術をした場合に保険適用される手術費や入院・外来治療費に相当する1千万円程度になる見込みで、渡航費や滞在費は含まれない。該当する患者は子どもを中心に年間10人以内とみられる。

 国内での臓器移植は、医療機関の体制整備の遅れなどから、待機患者の数に比べて提供者数が少ないのが現状。多額の費用がかかる渡航移植を選択しなければならない患者や家族の負担を少しでも軽減する狙いがある。