【本の話をしよう】
ベルリン文学賞など数多くの賞を受賞してきた世界的作家、イリヤ・トロヤノフさん(50)の代表作『世界収集家』。原著の刊行から9年を経て、このたび日本語訳が出版された。「千夜一夜物語」の翻訳者として知られる大英帝国の冒険家、リチャード・バートンの生涯をモチーフに、インド、アラビア、アフリカと3つの文明を一冊に収めた。
3つの文化の「時間」体現
ライプツィヒ・ブックフェア賞を受賞するなど、国際的に高い評価を受けた本書。現在約30カ国で翻訳されている。「この本は世界を旅しています。ある国ではとても売れたし、別の国では大学で研究されたりもする。国によって受け取り方がさまざまで、とても面白い。日本でどのような読まれ方をするのか楽しみです」
リチャード・バートンとの出会いは10歳のとき。両親から冒険家の本をプレゼントされた。「アラビア服をまとったバートンは、本の登場人物の中でただ一人、ヨーロッパ人に見えなかった。彼は私の中でビッグヒーローになりました」