世界最大の自転車メーカー、台湾・ジャイアント社が日本進出を加速させている。といっても、工場を作るわけではない。日本の自治体と観光振興で手を結び、サイクリングコースを開発したり、台湾から旅行者を呼び込んでインバウンドに貢献したりと、日本の自転車人気の盛り上げに一役買っているのだ。5月には滋賀県・琵琶湖を新たなターゲットに定め、創業者のキング・リュウこと劉金標会長(82)が来日。自ら湖畔を快走し、「サイクリングの聖地にする」と宣言した。(大阪経済部・上野嘉之、産経デジタル・澤野健太)
自転車界のドン
劉会長は、一代で台湾を自転車王国に変えた立志伝中の人物で、世界の自転車界のドンともいわれるカリスマ経営者だ。
ジャイアント社は、自社ブランド「GIANT」と女性向けブランド「Liv」(リブ)が展開する低価格・高品質の製品で世界の自転車市場を席巻。日本でもクロスバイク、ロードバイクなどの人気が高い。また、世界各国の主要なスポーツ自転車メーカーにカーボン製やアルミ製のフレームをOEM供給し、市場に広く深く浸透している。
さらに、同社がサポートするサイクルロードレースチーム「ジャイアント・アルペシン」と女子チーム「ラボバンク・リブ」は、ツール・ド・フランスなど世界最高レベルのレースで数々の勝利を挙げている。キング・リュウが築いたジャイアント王国は、自転車界の頂点を極めている。