原子力は準国産エネルギーです。原子力の平和利用、核の不拡散という観点からも日本の果たすべき役割は大きく、日本が原子力技術を持ち続けることに米国は大きな期待を寄せ、途上国も日本の技術に強い関心があります。原発を持つことで石油やガスなどの価格交渉も有利に進められます。日本で開発できる可能性が高い水素輸送貯蔵技術も非常に有望で、メタンハイドレートの実用化をはじめ技術革新による発展の可能性は大きく広がっています。
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□クレディ・スイス証券チーフ・マーケット・ストラテジスト 市川眞一氏
■他国にも増して厳しい新基準を
原発のある地域の住民や関係者の生の声を聞こうと昨年夏から折を見て国内50基への“行脚”を始めました。これまで5カ所訪れ、3月までにさらに3カ所回る予定にしています。
柏崎刈羽原発(新潟県)を訪れた時は、新基準による原発の安全審査の申請について泉田裕彦知事が拒否していたころ(後に承認)でしたが、複数の地元住民から「使用済み核燃料が貯蔵されているという事実が厳然とある中、安全審査まで受けさせないというのは逆に危険なのではないか。再稼働するかどうかとは別問題」との声を聞きました。実際に施設が身近にある住民にとっては、世界的にも厳しい新基準による審査を受け、改善すべきところは改善し安全性を高めてもらいたいとの率直な気持ちだったのでしょう。
原発を考える上で、導入するに至った歴史的経緯、国際情勢から見た必要性の有無など大局的な視点を忘れてなりません。第4次中東戦争(1973年)が起こり、日本では石油ショックで激しいインフレが起きるなど国民の生活を直撃しました。そうした事情から日本は原発を立地することになったわけで、石油資源がなく、国際的な原油価格高騰のリスクにさらされているという点では当時も今も何ら変わっていません。