シンガポールで開かれていた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は25日、「最終的な協定に向け躍進を遂げた」とする共同声明をまとめ閉幕した。参加国は昨年12月の前回会合に続き、知的財産など難航分野で妥協点への方向性を示す「大筋合意」を目指したが、日本と米国が最難関の関税撤廃の協議で折り合えず再び断念した。
米通商代表部(USTR)のフロマン代表は閉幕後の共同記者会見で、「まだ(各国に)立場の隔たりはあるが、高水準の包括的な合意に向けて協議を続ける」と述べた。
声明は、「前回の閣僚会合で特定した『着地点』の大部分で合意し、残った課題にも解決への道筋を示した」と指摘。だが、関税撤廃などの市場開放を「残りの作業の重要な部分」と位置付け、高水準の自由化を目指して各国内の調整を本格化する方針を示した。
12カ国は今後、分野別の事務協議を開く方針だが、次回の閣僚会合の開催は明示しなかった。参加国内では5月に中国・青島で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に併せて、TPP閣僚会合の開催も検討する。(シンガポール 会田聡)