原発の稼働が止まり、電力各社は老朽火力の運転を再開するなどして電力を補っている=和歌山県海南市の関西電力・海南発電所【拡大】
■削減目標、大きく後退
日本の温室効果ガスの排出量が増えている。発電時に二酸化炭素(CO2)を出さない原発の稼働が止まっているためだ。再稼働の時期も見通せず、政府は温室効果ガスの削減目標を引き下げざるを得なくなっている。昨年11月には、従来より後退した削減目標を提示し、各国から批判を浴びており、国際社会における日本の発言力低下を懸念する声も出ている。
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■温室効果ガス 原発停止…再稼働も不透明
原発の稼働停止は、日本の温室効果ガス削減目標にも影響を与えている。
昨年11月20日、ポーランド・ワルシャワで開かれた気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)の閣僚級会合で、石原伸晃環境相は2020年までの温室効果ガスの排出量について「05年比3.8%減」とすることを表明した。これまで日本政府が掲げていた削減目標は、09年に民主党の鳩山由紀夫政権が原発増設を前提にまとめた「1990年比で25%減」。だが、東日本大震災を機に全原発が停止。再稼働の見通しも立たず、従来より後退した目標を国際社会に提示するほかなかった。
「一見、低い値に映るかもしれないが、原発による排出削減効果を含めず目標を設定した。今後の検討を踏まえ、さらに見直す」
石原環境相は、この目標が、あくまで原発ゼロをベースにした暫定値であり、将来、全発電電力に占める原発の比率が明らかになれば、目標数値を引き上げることを強調したが、「05年比3.8%減」は1990年比に換算すると「3.1%増」となる。欧州連合(EU)の「90年比20~30%減」、米国の「05年比17%減」と比べても見劣りするだけに「遺憾の意を表明する」(EU)、「残念で仕方ない。再考を求める」(デービー英エネルギー・気候変動相)といった批判が相次いだ。