安倍晋三首相は16日、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」の拡大に向け、関係閣僚に調整を急ぐよう指示した。政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で「(混合診療を例外的に認めている)保険外併用療養費制度を大きく変えるため、協力して案をまとめてもらいたい」と述べた。新たな成長戦略をとりまとめる6月までに意見を集約する。
会合では、産業競争力会議が混合診療をめぐり、国内で未承認の薬を患者が早く使えるようにする改革案などを提示。厚生労働省は、その方向で検討を進めていると明らかにした。
一方、諮問会議では、診療報酬のうち医薬品の公定価格である「薬価」を毎年改定するよう民間議員が提言。現在は2年に1度を原則に見直しているが、特許の切れた新薬と同じ成分を使う後発医薬品の浸透を受けて医薬品が値下がりしており、実態に合わせた薬価の引き下げで医療費を抑制するのが狙いだ。
薬価を毎年改定すれば、診療報酬全体を抑制する効果が見込まれる。民間議員の試算では、2004~10年の改定のなかった年に薬価を下げていれば、国民負担が累計で7000億~8000億円軽減された可能性があるという。
諮問会議の民間議員は病院の再編に向けた効果的な政策を用意すべきとも提言。厚労省は、複数の病院を束ねる持ち株会社型の非営利法人を設立し、大学病院や民間施設が傘下に入る制度の創設を表明した。