【視点】産経新聞編集委員・芳賀由明
カジノ解禁前夜のような熱気が日本各地で噴出し始めた。刑法で禁止されている賭博行為を特定施設で合法化して、外国人観光客の増加と地域活性化に結びつけようというのが狙いで、地元経済の地盤沈下に悩む自治体は、文字通り、地域再生の行方をカジノを核とした統合型リゾート施設(IR)に賭ける意気込みだ。
しかし、ギャンブル依存症やマネーロンダリング(資金洗浄)といった負の部分を懸念する声が根強いなか、各地のIRに満遍なく一石二鳥の効果を期待するのは楽観的過ぎるかもしれない。
カジノ解禁の旗振り役は「IRは日本の成長戦略の目玉になる」と強調する安倍晋三首相だ。先の通常国会では継続審議となったが、9月下旬にも開かれる臨時国会では「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(カジノ推進法案)」が成立する可能性が高い。同法案成立を号砲に、2020年の東京五輪に向けてカジノ開設が具体化することになる。