「地方創生」が本格化する。人口減少に歯止めをかけるため、各地方自治体は2015年度中に地域の特性に応じた地方版の人口ビジョンと総合戦略を策定し、取り組みに着手する。地方の将来像を誰がどのように描き、どう実現するのか。成功事例として注目される岩手県紫波町を歩き、成功のヒントを探った。
国の補助金に頼らず
東京から盛岡まで東北新幹線で2時間10分。JR東北本線で20分ほど引き返して紫波中央駅に着く。まだ新しい木造の駅舎を出て駅前ロータリーを抜けて駅前通りに出ると、すぐ向かいが駅前開発地区「オガール」(計画面積21.2ヘクタール)だ。昨年12月中旬、町は既に雪化粧していた。
オガールは昨年9月、地方創生担当の小泉進次郎政務官が視察して全国に名が知れた。10年近く未利用のまま塩漬けになっていた町有地で、2009年度からPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ=公民連携)事業として開発に着手。これまでに図書館、産直センター、バレーボール専用体育館、宿泊施設、飲食店舗などが開業した。今では年間70万人以上が訪れるという。