【ワシントン=小雲規生】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は22日、中国主導で創設されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)をめぐり、オバマ米政権が中国側に対して、米国主導の世界銀行やアジア開発銀行(ADB)との共同出資事業を提案したと報じた。AIIBが中国の影響力拡大の手段として運用されることを防ぐ狙いがあるとみられる。
オバマ政権はこれまで、AIIBの融資事業について、環境や労働条件の基準が既存の国際金融機関に比べて低くなる可能性などに懸念を表明してきた。シーツ財務次官(国際問題担当)は同紙に対して、「世銀やADBとの共同出資事業は、歴史的に有効性が証明された高い基準を確保することに役立つ」と話した。
AIIBは中国が拒否権を握り、恣(し)意(い)的に運用される懸念がある。同紙はAIIBの融資が中国企業の海外進出を後押しする補助金として機能することや、中国海軍の艦船を受け入れるための軍港建設に使われることなどへの懸念を指摘した。また、AIIBの融資基準が甘くなって貸し倒れが起きた場合に、他の金融機関への融資返済も滞る可能性も問題視されている。
中国側は同紙に対して、世銀などとの共同出資事業を検討する可能性があることを示唆し、AIIBがオープンな国際金融機関となることをアピールしている。中国はこれまでも米国や日本などに対してAIIBへの参加を呼びかけていた。
一方、オバマ政権はAIIBが抱える問題点を踏まえ、各先進国に参加を思いとどまるよう呼びかけていたとされる。しかし、今月に入って英仏独伊が相次いで参加を表明。韓国や豪州でも参加の是非が検討されている。オバマ政権にとっては同盟国に相次いで背中を向けられたかたちで、共同事業によってAIIB外部から影響力を及ぼす方法を模索しているもようだ。
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■アジアインフラ投資銀行(AIIB) 中国主導で設立を計画している国際金融機関。本部は北京、資本金は最終的に1千億ドル(約12兆円)とする計画。アジアを中心とした新興国に鉄道や道路などのインフラ建設資金を融資する。東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国やインド、中東諸国、中央アジア諸国など計27カ国が創設メンバーに決まっているほか、3月に入って英国、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク、スイスも参加表明した。