日本政府が国連女子差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦の強制連行説が広まったのは朝日新聞の報道が大きな影響を与えたなどと説明した件について、朝日新聞社は外務省に対し、根拠を示さない発言で遺憾であると文書で申し入れた。申し入れは18日で、名義は橋本仁・東京本社報道局長。
対日審査は16日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた。政府代表の外務省・杉山晋輔外務審議官は、慰安婦の強制連行説は吉田清治氏(故人)による「捏造」で、朝日新聞が吉田氏の書物の内容を大きく報じたことが「国際社会にも大きな影響を与えた」と説明した。
この指摘に対し、朝日新聞社は申し入れ書で、朝日の慰安婦報道を検証した第三者委員会の委員から「(日本軍が暴力的に強制連行したという)イメージの形成に大きな影響を及ぼした証拠も決定的ではない」といった見解が述べられている、と強調した。