政府は17日、2015年度版「農業白書(食料・農業・農村の動向)」など農林水産関連の4白書を閣議決定した。農業白書では、2月に署名された環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を特集。TPPの合意内容や発効の意義、関連対策、影響試算など従来の政府見解を解説した。
TPP発効で海外の安い農林水産物が流入しても、日本の生産額の減少は最大2100億円にとどまると説明。一方、日本全体の国内総生産(GDP)は13兆6000億円拡大するとの試算を示し、TPPの意義を強調した。また「食料自給力」や日本産の農林水産物・食品の輸出拡大の重要性などを盛り込んだ。
水産白書では高齢化などの課題を重視し、漁港周辺の集落の約4分の1が大規模災害に脆弱(ぜいじゃく)なことや、集落の約36%が65歳以上である実態を紹介。森林・林業白書では、14年の木材自給率が31.2%で26年ぶりに30%台を回復したとや、東京五輪の関連施設で国産木材活用の推進の重要性を指摘した。食育白書では、食育に関心を持つ国民割合が7割を超えた調査結果などをまとめた。