
OECD租税委員会が閉幕し、記者会見する財務省の浅川雅嗣財務官(右)ら=1日午後、京都市【拡大】
京都市で開かれていた経済協力開発機構(OECD)租税委員会が1日閉幕し、多国籍企業の課税逃れ対策を実行に移すため、各国が体制を整備することなどで合意した。租税回避地の節税実態を暴露した「パナマ文書」問題を受け、参加国が拡大し、包囲網は強化された。だが、新興国の体制整備など実効性を確保するための課題は多い。
「これは企業と税金をとる立場との競争だ」。麻生太郎財務相は強調する。
京都会合で集中的に議論したのは「BEPSプロジェクト」と呼ばれる課税逃れ対策だ。国ごとに違う税制の隙間を狙った多国籍企業の過度な節税に、15の共通ルールで網をかける。
ルールは昨年10月に策定され、多国籍企業がグループ内の取引で収益性の高い特許を移転したり、資金の貸し借りを操作して、法人税率が低い国に利益を集めたりする行為に適正に課税する仕組みなどが柱だ。実施への工程や必要な国内法改正、参加国同士が実施状況を互いに監視し合う手法などを確認した。
参加国は先進国を中心に46カ国だったが、新興国や途上国など新たに36カ国・地域が加わり、年内にも100を超える。新興国には自国の開発のために必要な財源である税が多国籍企業の過度な節税で失われているとの不満があり、抜け穴ふさぎの網を広げたい先進国と利害は一致する。