【カイロ=大内清】世界有数の産油国サウジアラビアで経済改革路線を主導するムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(30)が31日から訪日する。「脱・石油依存」や財政の合理化に向けた取り組みをアピールし、投資や技術面で連携強化を図るのが狙いだ。日本訪問後、9月4日から中国・杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議にも参加し、大国としての存在感も誇示したい考えだ。
「石油依存症が多くの分野で成長を妨げてきた」。ムハンマド副皇太子は今年4月、サウジ資本の衛星テレビ局アルアラビーヤのインタビューでこう語り、潤沢な石油収入にあぐらをかいてきた体質を変えることが、経済成長に向けて不可欠だとの考えを示した。
4月には自らが策定を主導した成長戦略プランを発表。その中では、国営石油会社サウジアラムコ関連株を一部公開して透明性を高めることや、2030年までに非石油分野の政府歳入を現在の約6倍の約2660億ドル(約27兆2000億円)に増大させ、経済規模で世界15位以内に入ることなどが盛り込まれている。
野望実現のカギを握るのが、海外からの投資や技術協力だ。サウジは1月、同国を訪問した中国の習近平国家主席との間で、エネルギー分野などで広範な協力を進めることで合意。日本に対しても金融や技術面での期待は大きい。