アップル子会社の日本法人「iTunes」による所得税の源泉徴収漏れは、外国法人に本来支払うべきソフトウエア使用料を別の名目の代金として支払うことで、日本での源泉徴収による納税を免れる手法だ。「古典的でよくある手口」(財務省主税局幹部)であり、特別な対策を講じなくても、税務当局は対応できるという。
だが、多国籍企業による国境をまたいだ過度な節税策は高度化しており、各国の税制や国際課税のルールは追いつかなくなっているのが実情だ。実際、2010年以降、グーグルやスターバックスなど欧米の多国籍企業による巨額の節税策が相次ぎ発覚。こうした動きが横行すれば、税収は落ち込み、税制への信頼が揺らぎかねない。
このため、経済協力開発機構(OECD)と20カ国・地域(G20)は、国境を越えた節税を連携して封じるための対抗策を議論。昨年10月には「BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト」と呼ばれる15の共通ルールを策定した。