
自然が豊かな白滝山頂の八畳岩と瀬戸内海。森林環境税には地方自治体が強く抵抗する【拡大】
政府・与党は23日、2017年度税制改正で、地球温暖化対策として市町村の森林整備財源に充てる「森林環境税」の導入を先送りする方針を固めた。16年度税制改正大綱で創設を明記しており、導入時期や制度の詳細を決める予定だったが、森林整備を目的とした税を独自に導入する自治体などが反発。与党にも消費税増税の再延期を決める中、国民全体に負担を求める新税の導入に慎重論が強まった。
森林環境税は、二酸化炭素(CO2)の森林吸収量向上による温暖化対策や国土保全の安定財源として、林野庁などが創設を求めていた。16年度税制改正大綱で、市町村主体の森林整備施策を推進するため、同税の仕組みを検討すると明記。国が市町村の個人住民税に上乗せして徴収し、それを市町村に配分して森林整備事業に使える制度を想定していた。
だが、今年4月時点で37府県と横浜市が森林整備のための独自税を導入しており、「二重課税」を理由に自治体から反対意見が相次いだ。政府が個人消費の低迷などを背景に消費税増税を再延期したこともあり、与党は「今の景気状況での増税は国民の理解が得られない」などとして先送りする方針を固めた。
自民党税制調査会は同日、非公式幹部会(インナー)を開き、同税や所得税など17年度税制改正の主要項目を議論した。