フィリピンは、人口抑制政策の導入で貧困の削減を目指す。同国の国家経済開発庁(NEDA)によると、避妊を選択肢として保障するリプロダクティブ・ヘルス(RH)法の施行後5年間で人口が300万~500万人減少し、雇用率が改善されるとともに貧困率が2015年の21.6%から13~15%に縮小する見通しだ。現地経済紙ビジネス・ワールドなどが報じた。
NEDAのエルネスト・ペルニア長官は、貧困世帯の母親の出産回数を現在の5~6回から、RH法施行で母親たちが理想とする3回とすることができれば、出産と育児の負担が減った母親たちの労働・教育の機会拡大につながると指摘。「出産回数の減少のみで貧困層を年1.5%減らせる」と述べ、RH法と経済成長による雇用拡大の相乗効果でより大幅な貧困削減も可能との見解を示した。
ただし、RH法は最高裁による暫定差し止め命令を受けており、施行は早くとも18年からになる見通し。同長官は、18年の施行でもロドリゴ・ドゥテルテ大統領が任期満了を迎える22年までに貧困率を13~15%まで縮小できると述べ、施行への意欲をみせた。