インドネシアは、英語力で東南アジア地域の主要国に後れをとっているもようだ。スウェーデン発祥で留学や語学教育事業を展開するイーエフ・エデュケーション・ファースト(EF)が実施した英語能力指数(EPI)調査の2016年版によると、インドネシアは72カ国・地域中32位で、昨年と同順位(15年版は70カ国・地域)にとどまった。この結果を受け、英語力の伸び悩みが経済成長の足を引っ張りかねないと懸念する声が上がっている。現地紙ジャカルタ・グローブが報じた。
同調査は毎年行われており、英語を母国語としない国・地域の英語力を測定する。16年版は1カ国・地域当たり約400人を対象に実施された。総合首位がオランダで、指数は72.16だった。日本は51.69で前回より5つ順位を下げて35位だった。
インドネシアの指数は前回と変わらず52.91で、昨年抜かれたベトナム(54.06、全体31位)を逆転できなかった。東南アジア地域をみると、トップは63.52のシンガポールで全体6位、以下、マレーシア(全体12位)、フィリピン(同13位)、ベトナムと続いた。インドネシアを下回ったのはタイ(同56位)とカンボジア(同69位)だった。
EFは、英語力の向上が国際競争力の強化に直結し、多国籍企業の誘致や高水準技術の流入につながると指摘している。インドネシアの専門家もこの見解に同意しており、世界4番目の労働力を抱え、アジア屈指の経済規模を有しながら近隣のライバル国に競争力で劣るのは、同国に英語が堪能な人材が少ないためだと分析した。
さらに、同国の経済金融開発研究所(INDEF)の幹部は、IT(情報技術)分野などで先端性が増すほど英語が主要言語として使用されていると分析。「国際競争でライバル国に抜かれるのを座して待つわけにはいかない」と述べ、国内の英語力向上が必要だと主張した。(シンガポール支局)