--世界に与える影響は?
「戦後の世界秩序を維持するという観点からも、英国のEU離脱は困る。EUも英国も、戦後の日本にとってかけがえのない原則『ルール・オブ・ロー(法の支配)』の担い手だ。法の支配は、ルールを曲げてでも自分の都合のいいようにする『力の支配』に対するものだ。法の支配は決めたルールに従って行動しようということだ。法の支配を守っていこうという強い意志と能力を兼ね備えている国が米国であり、英国を含むEUであり、そして日本もそれに賛同するという形で戦後の世界秩序を守ってきた。EU離脱で英国自身が弱り、EU自体も弱る、という事態に陥る恐れがあり、そういう意味で懸念している」
--経済的な影響は?
「日本は英国に10兆円規模にのぼる投資をしており、英国人を中心におよそ14万人を雇用している。日本の対英投資は、欧州の単一市場に人、モノ、資本、サービスという『4つの移動の自由』があることを前提に行ってきた。英国がEUから出てしまうことで、日本にも直接的な不利益がもたらされるのではないかと心配している」
--日本はどうすべきか?
「英国とEU間の離脱交渉の道筋を早くつけてほしい。そうすれば、ある程度ビジネスも見通しがたつだろう。英国で生産された商品に今後、関税が10%かかることになるかもしれない。そうなったとき英国にそのままとどまるのか、他の国に移転するのかは個々の企業判断になると思う」