9日の外国為替市場は、英総選挙で与党保守党の議席が過半数割れの見通しとなったことで英通貨ポンドが急落した。対ドルで一時1ポンド=1.26ドル台と約2カ月ぶりの安値、対円で一時1ポンド=139円台と約1カ月半ぶりの安値となり、ともに前日の高値と比べた下落率は一時2%を超えた。
日本時間朝方に保守党過半数割れの可能性を示唆する出口調査結果が報じられるとポンドは急落。その後は下げ渋ったが、欧州市場の取引が始まると再び下落して安値圏でもみ合った。
みずほ証券の金岡直一シニアFXストラテジストは「市場関係者は、どの党も過半数に達しない『ハング・パーラメント(中ぶらりん議会)』となることを最も恐れていたが、それが現実化したことに伴う英政局の不透明感が嫌気された」と指摘。総選挙を前倒ししたメイ首相の求心力が低下することや、欧州連合(EU)離脱交渉が難航することへの懸念も広がった。
今後の英政権運営は難航するとみられ、短期的にはポンドに売り圧力がかかるとの警戒感が出ている。
一方、トランプ米政権のロシア疑惑をめぐる米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官の議会証言は、目新しい材料がなかったとの受け止めから、投資家のリスク回避姿勢が後退。円相場は対ドルで1ドル=110円台前半を中心に落ち着いて推移した。9日の東京株式市場の日経平均株価は反発し、終値は前日比104円00銭高の2万0013円26銭と、4営業日ぶりに2万円台を回復して終えた。