00年に発売した4代目シーマは、新たに導入された安全基準に対応できないうえ、08年のリーマン・ショックのあおりで高級車の需要が激減したこともあり、廃止が決まった。
日産は、高級セダン「フーガ」で、シーマの顧客もカバーしようと考えていた。だが、その考えは甘かった。「4代目シーマだけで3台乗り継いだオーナーもいる」(内田さん)ほど、シーマに強い思い入れを持つユーザーは多く、こうしたユーザーが国産他社や、輸入高級車に流れる動きが始まったのだ。
これが役員の耳にも届き、「シーマ復活」の機運ができつつあった。その最中に持ち上がったのがインフィニティMのロングホイールベースの活用だった。
笹岡さんや内田さんに、フーガ復活を打診された開発責任者の長谷川聡さんも、「これならいける」と直感した。長谷川さんは「(日本の)フーガの車台流用ではシーマのお客を満足できない」と考えていただけに、まさに渡りに船だった。
ロングホイールベースは、フーガの車台を使って、前部座席と後部座席の間にあるピラー(柱)の後方15センチ伸ばし、室内空間を広げる。これであれば、「シーマらしい車格感をつくっていける」(長谷川さん)とこれまでの課題の解決を確信した。