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ようやく商品化にこぎつけたのは、07年も終わりに近い10月のことだった。商品名は「綾鷹」。これは、幕末に上林春松本店が初めて一般大衆向けに開発、発売したお茶の名前だった。当初は将軍家に秘密で製造していたためブレンドレシピなどは残されていなかったが、新商品の「挑戦」の意味を体現しているようだった。
だが、直後、思いも寄らない困難に直面する。プレミアム緑茶として1本(425ミリリットル)158円と高めの価格設定をしたものの、08年にリーマン・ショックを発端とする不況に見舞われ高価格商品が敬遠された。
このため同社は09年5月に1本147円に改定するとともに、容量280ミリリットル(120円)、500ミリリットル(150円)、1リットル(220円)とバリエーションを拡充。従来の自動販売機やコンビニエンスストアに加えて、スーパーマーケットや量販店にも販路を広げていった。
急須で入れたような味わいのお茶にフォーカスした広告宣伝を強化したことも奏功し、いまや「綾鷹」は国内を代表する緑茶ブランドに成長した。