ただ、製品への応用には超低温が障壁となった。超電導が起こる環境を実現するには、高価な液体ヘリウム(沸点はマイナス269度)でケーブルを冷却し続けなければならず、電力ケーブルへの使用には現実性がなかった。
ところが、1987年に研究が大きく前進した。マイナス196度でも超電導現象を起こす新材料のセラミックの一種が見つかったため。この発見で、低価格の液体窒素で冷やすことが可能になり、実用化に向けた研究が進んだ。
世界初の量産化成功
各国の研究者や事業者が超電導ケーブルの製品化を研究する中、2004年に世界で初めて電気抵抗をゼロにできる超電導線の量産化に成功したのが住友電気工業だ。
同社は金属粉末を加工し、金属製品を造る粉末冶金(やきん)の技術を得意としている。超電導線の材料となるセラミックの粉末は固く、壊れやすい性質があるが、同社はこの技術を応用し、しなやかで曲げられる超電導線の開発に成功した。
電気を高い利用効率で使えるため、注目度は非常に高い。