「日本国内で作られる電力のうち、銅線の送電ロスにより5%が無駄になっている」。住友電工の担当者はこう説明する。
日本全体の電力需要は年間約1兆キロワット時。5%は約500億キロワット時に相当し、毎年、これだけの電気が送電時に熱に化けて失われている。これは標準的な原子力発電所(60億キロワット時)の7~8基分にあたる。
超電導線自身の送電ロスは銅線の半分で、仮に国内の送電網を超電導線に全面切り替えすれば、単純計算で原発3~4基分の電力をまかなえる。
さらにケーブルの断面積が同じなら、銅線の約200倍の電流を流す能力がある。つまり同じ送電能力なら、銅線よりもコンパクト化することが可能。地下送電線を建設する場合、大きなトンネルを掘る必要がなくなり建設コストを減らせるという。
関電も送電実証実験
長年夢物語と思われていた超電導線だが、近年は世界で送電実験が行われ、実用化に向けた動きが本格化している。