住友電工の超電導ケーブルはすでに中国に納入、ドイツやロシアからも受注があるほか、平成24年10月から東京電力の旭変電所(横浜市)で国内初の送電実証実験が開始。25年1月には、住友電工大阪製作所(大阪市此花区)内で関西電力と共同実証実験を行う。
ただ、海外に比べ国内の電力会社は新技術への導入に慎重だ。停電が多発する海外に比べ、電力網が整備された日本は、非常時の供給体制などに不備がない。
さらに原発停止の影響による経営悪化で新たな投資に余裕がないことも、日本の電力会社が超電導線を含めた新技術導入に後ろ向きな要因となっている。
しかし、発想を変えれば、超電導線は電力問題を解決する切り札の一つになりうる。
住友電工の担当者は「高コストゆえに敬遠されてきたが、量産化によるコストダウンなどで、トータルコストを見ても銅線と拮抗(きっこう)するようになってきた」と話す。日本メーカーが高い技術を誇る超電導線は、電力問題の解決を手助けする重要な製品といえる。(中山玲子)