価格は割高だが強度の高い「普通ポルトランドセメント」や、硬化する速度が遅くて強度が出にくいものの安価な「高炉セメント」をベースに、さまざまな濃度の人工塩水や真水などを組み合わせる実験を繰り返す。
神奈川県茅ケ崎市の海岸に出向き、バケツでくんだ海水をサンプルにしてセメントとの相性も探った。
しかし、これといった成果を出せずに時間が過ぎていく。プロジェクトのスタートから約3年後の10年5月、青木から告げられた報告に金井が驚く。
「安価な高炉セメントに天然の海水を混ぜてみたら、強度が出ました」
安価な素材組み合わせ強度向上
計測してみると、真水でコンクリートを練った場合よりも強度は60%以上も高く、さらに透水係数も「普通ポルトランドセメント」の70分の1で気密性が高い。低レベル放射性廃棄物を封じ込めてしまう岩塩層の透水係数100分の1が視野に入るレベルだ。