「O2O」関連市場規模の予測【拡大】
来店客が持つ専用アプリを取り込んだ多数のスマホ向けに、イベントやクーポンなどの情報をわずか数秒で配信。実験を担当する東大の中尾彰宏准教授によると、ビーコンと呼ばれる信号で送信すれば、スマホ側では受け取るための「認証」動作が不要となり、伝達速度が向上する仕組みという。
衣料品のネット通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイが10月末に始めた新サービス「WEAR(ウェア)」は、店内で商品のバーコードをスマホで読み取ると、商品情報や他の商品とのコーディネート画像などがスマホ画面に表示される。
店舗と融合効果
O2Oの活用には、ネット通販サイトを立ち上げたばかりの小売店が積極的だという。「ネット通販では商品の使用感を確認できない一方、実店舗では好みの色柄やサイズの在庫がない場合もある。O2Oはこうした不満を解消できる」(流通業界関係者)といい、実店舗との高い融合効果が見込めるためだ。
ただ、スマホの衛星利用測位システム(GPS)から特定した位置情報を販促に生かす手法がプライバシー侵害にあたるとの指摘があるほか、店頭で下見してネット通販で購入する「ショールーミング」をO2Oが後押しし、実店舗の売り上げを奪う可能性もはらむ。こうした課題の解決が、ビジネスモデルの確立に欠かせない。(鈴木正行)