とはいえ、全世界で小型車「フィット」「シティ」とともに、「年間計160万台を売り上げる」(伊東孝紳社長)という世界戦略を担う量産車だ。板井さんは、自らの足で欧州、アジア、中国、南米、北米すべての地域を回り、情報収集にあたった。
すると、都市部を少しでも離れれば悪路となる新興国では、車高の低いセダンは、「車体を傷つける」として敬遠されていたことが分かった。車高が高いSUVは、目線が高いため、ユーザーは優越感を持っている。開発チームの部屋には、(1)ハイグラウンドクリアランス(地上高が高い)(2)大型タイヤ(タイヤの存在感を出す)(3)アイポイント(目線を高く)-と記載した“三種の神器”と呼ばれる紙を貼り付け、意識を徹底させたという。
また、板井さんはデザインのテーマに、「サイズが小さくてもオーラがあるローバー時代のMINI(ミニ)のような存在感」を掲げた。