決算発表後、報道陣からパナソニックによる買収について質問されるが、答えを避ける当時の三洋電機の佐野精一郎社長(左)=平成20年11月5日、大阪市北区【拡大】
「資本増強しなければつぶれていた」(関係者)といわれるほど追い込まれていた18年3月には、三洋が主力取引銀行である三井住友銀行や米ゴールドマン・サックス(GS)など金融3社を引受先とした計3千億円の優先株を発行。3社の優先株は普通株に換算すると発行済み株式の約7割(議決権ベース)にあたったため、経営の主導権は握られた。
さらに創業家出身の社長らを巻き込んだガバナンス(企業統治)の混乱に苦しんだが、19年4月に佐野氏が社長に就任。以降、携帯電話事業など不採算事業の売却を進める一方で、太陽電池や充電池を強化した結果、20年3月期連結決算では最終損益を4年ぶりに黒字に転換。監査法人が企業の存続可能性に疑義があるときにつける「注記」も2年半ぶりに消え、再建に薄日がみえていた。
自立再建にこだわって策定した新中期経営計画の達成に注力していたが、20年9月のリーマンショック後に情勢が一変。米国発の金融危機が金融3社から三洋が再建を果たすまで待つ時間的な余裕を奪い、GSなどは利益を見込めるうちに三洋株を手放したい意向を強めた。