新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「何かにのめり込む人の中には、頭が良く知識は豊富でも、一般常識や社会性に欠ける人がいる。集中力が高すぎて周りが見えなくなる人は昔もいたが、現代は公共心というのが重視されなくなっている」と話す。
まさに、才余(あま)りありて識(しき)足らずである。
ゆがんだ「正義感」
JR大阪駅ビル(大阪市北区)では昨年9月、大量の写真が空から舞い散る騒動もあった。写真には、若い男性の顔のアップや、首から一眼レフをかけて電車の優先席に座り、携帯電話を操作している様子が写っていた。
原因は「撮り鉄」同士のトラブルだった。写真をばらまいた少年2人は大阪府警曽根崎書の任意聴取に「電車の撮影現場でいつも割り込んでくる悪いやつがいて、面白半分、嫌がらせ半分でばらまいた」と動機を語った。
碓井教授は「正義感といえば正義感で、自分たちは正しいことをやっているという意識だと思う。日本人は他人に迷惑をかける行為はよくないという優れた国民性を持っているが、最近は乱れてきている」と分析する。