【番頭の時代】第2部(1)白衣の異才、ミドリムシ提案 ユーグレナ (2/4ページ)

2015.2.24 05:00

 ミドリムシしか生きられないくらい二酸化炭素濃度を高め、培養液の濃度を変える。鈴木は「湖でミドリムシだけ発生する瞬間がある。自然がなしえるなら、その環境を人が整えれば再現できるはずだ」と信じ、あまたの試行錯誤を重ねた。

 「どんなに難しい課題があっても、常人には考えつかないような切り口、いわば答えを導く“補助線”を引いて解決してしまう」

 出雲は、いまも研究者としての鈴木に全幅の信頼を寄せる。

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 出雲と鈴木は、ビジネスコンテストなどを企画する東京大学のサークルの先輩・後輩だ。学生時代には投資コンテストにコンビで参加し、ノーベル経済学賞受賞者の理論を駆使して圧勝した経験を持つ。大学1年の時に訪れたバングラデシュで深刻な食糧事情を肌で感じ、世界の栄養問題を解決したいと考えていた出雲に、ミドリムシを提案したのも鈴木だ。

 昨年12月3日。ユーグレナが株式公開(IPO)から約2年というスピードで東証1部昇格を果たした夜、鈴木と出雲は上場に尽力したメンバーらと東京・恵比寿で会食した。慰労会が目的だったが、話題はすぐにこれからの事業戦略に移り、さながら経営会議の雰囲気となった。

 トップのビジョンを自らが持つ最先端の研究技術で支え、社会に役立てる番頭役に徹する。研究者然と白衣をまとった鈴木は、童顔をほころばせてこう振り返る。「過去より将来、いつの間にか新しいスタートの決起集会みたいだった」

■「地球救う」夢かなえる営業力

 壮大なビジョンと世界最先端の技術力があっても、売れなければビジネスは成り立たない。

 「私は営業で世界一を目指している。私に売れない物はない」

 ユーグレナのマーケティング担当取締役を務める福本拓元(たくゆき)は、初対面の出雲充にこう大見えを切った。04年7月、中国・青島で開かれたベンチャー企業の交流会でのことだ。

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