【番頭の時代】第2部(1)白衣の異才、ミドリムシ提案 ユーグレナ (4/4ページ)

2015.2.24 05:00

 言葉通り08年4~6月期にミドリムシの栄養補助食品を7400万円分売り上げ、黒字化を果たした。営業先のひとつだった伊藤忠商事との提携もこのころだ。出雲が見込んだ“世界一の営業マン”は、同社が浮上する原動力となった。

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 「ミドリムシでこういうことができないか」

 「こんな商品が欲しいんだが…」

 ユーグレナ本社には、連日のように取引先や消費者からの相談や要望が舞い込む。

 出雲はその内容を精査した上で、2人の番頭に具体的な対応を任せる。「鈴木も福本も1回も『無理だ』とか『できない』と言わない。本当にありがたい」と出雲はいう。

 研究者、営業マンとしてたぐいまれな能力を持つ2人は、口をそろえて「聞く人をその気にさせる能力がある」と出雲を評する。大まじめに「ミドリムシが地球を救う」と訴え、世界の食料・エネルギー問題を解決しようと呼びかける出雲のリーダーシップに2人は魅了された。

 同社はすでにミドリムシの油を混ぜたバイオ燃料でバスを走らせる実証実験に着手し、18年にはミドリムシ由来のジェット燃料で飛行機を動かす技術を確立するという。若いカリスマと番頭のトロイカ体制が、世界を変えようとしている。=敬称略

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 ■番頭の教え

 ◆果たすべき役割徹底すべし

 企業の成長ステージによって経営幹部の果たすべき役割は異なる。創業間もない企業では、まだ誰も実現し得ない未来を大きく語ることのできる社長と、現実感をもってビジョンを実現する「BANTOU」の役割分担が、その後の成長に欠かせない。社長が描く大きなビジョンを実現するために、鈴木氏と福本氏は自身の能力を「BANTOU」に徹して役割を果たした。それが企業を成長に導いたことはいうまでもない。(ビズグロー代表 杉村知哉)

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