【番頭の時代】第2部(1)白衣の異才、ミドリムシ提案 ユーグレナ (3/4ページ)

2015.2.24 05:00

 創業準備を進めていた出雲にとって、どうやってミドリムシを使った商品を売るかが懸案だった。家業のクロレラ栄養補助食品販売で実績を上げ、中国で製造工場の新設を検討していた福本の営業力は、魅力的だった。

 「ミドリムシは『虫』だと思われていて、なかなか商品を買ってもらえない。あなたの腕試しにはぴったりだ」

 挑発的な出雲の言葉に、福本は「偉そうなやつだ」と思った。

 中国から帰国後、出雲はユーグレナの設立に参加するよう再三、福本を口説いた。だが、福本はなかなか首を縦に振らなかった。出雲は本人の承諾を得る前に、福本を役員にすえた創業企画書の印刷を始めた。それを聞いて、福本もついに折れた。

 「自分は営業マンとして何でも売るが、売れなかったらミドリムシが偽物だということだ」

 「研究番頭」の鈴木健吾と「営業番頭」の福本の両輪を得て、同社は動き始めた。05年の夏だった。

                   ◇

 創業後の道のりは険しかった。量産化には成功したものの、思ったほどの注文は入らない。さらに創業を支援したライブドアが、粉飾決算で東京地検特捜部に摘発された余波を受け、数少ない取引先も離れていった。創業から約3年。福本らは約500社の企業を訪ね、地道な営業を重ねた。

 「次の四半期で営業成績が黒字にならなかったら辞める」

 08年春ごろ、本社の経営会議で福本が突然、こう宣言した。その前日、福本は家業の取締役との兼務を解消し、ユーグレナに注力してほしいと出雲に頼まれていた。退路を断った必達目標は、福本の決意の表れだ。

 「ノーゼロデー」。福本は売り上げがゼロの日は会社から帰らないという決まりを自分に課した。営業がうまくいかなかった日は、商品を1個でも買ってもらうため、会社近くの民家や事務所に飛び込み、商品を売って回った。

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