許容範囲は20マイクロメートル
高い観測精度を保つため、主鏡はお椀の放物面を一定に保つ必要がある。ゆがみの許容範囲は髪の毛のわずか4分の1本分、20マイクロメートルにすぎない。
鉄にすることを知った欧米の関係者からは「技術的に難しすぎる」と異口同音に指摘されたという。
インフラ情報システム部の川口昇主管技師長も「気温の変化が大きく、直射日光や強風にもさらされるアタカマ砂漠は、環境が厳しい分だけ、理想の鏡面を維持しにくい」と難しさを認める。
だが、三菱電機はあきらめなかった。
主鏡のお椀は、内側にアルミ製の鏡を200枚ほど並べてある。それらの鏡で電波を反射させ、一点に収束させることで観測する仕組みだ。
同社は鏡の一部分だけ日光が当たったりしても、全体の温度を均一に保てるようにすればいいと考えた。そこで、鏡を支える骨組みをパイプにして、中に秒速4~12メートル以上の強い風を流すことにした。こうした工夫で、主鏡の精度は髪の毛の4分の1本どころか、5分の1本以内に抑えることができた。