トヨタは2000年頃から拡大路線に邁進(まいしん)したものの、リーマン・ショックによる大幅な需要減が直撃し、09年3月期に赤字に転落した。
その後、いわゆる「もっといいクルマづくり」を掲げ、13年から工場新設を凍結し、既存工場の生産性向上を目指していくことにした。新しい設計思想の「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」を取り入れ、プラットホーム(車台)や部品の共用化を推進。この結果、工場新設凍結時に70%だった世界の工場稼働率は、現在90%にまで改善した。この“カイゼン”を経て、今月、満を持して約1700億円を投じメキシコと中国に新工場建設を発表した。メキシコはTNGAを前提とし、両工場合わせて年間生産能力は30万台増える。
必要と嗜好メリハリ
自動車産業には巨大な設備が必要なため、生産規模拡大が競争力に直結してきた。だが、自動車は必需品としてだけでなく、「嗜好(しこう)品」として購入されることもある。代表的な装置産業で工場稼働率が基本の鉄鋼やセメントとは、産業特性が異なる。