世界シェアが1~3%の富士重工業やマツダが、高い営業利益率を確保しているのは、一部のファンから強烈に支持される車を商品化しているからだ。為替の水準とは関係なく、海外でも価格とあまり関係なく嗜好品として愛されている。
必需品としての自動車需要は、新興国市場を中心に世界的に伸びていくため、新工場建設へと舵(かじ)を切ったトヨタ。かつての無秩序な拡大策による失敗の経験から、量を追うだけではないコスト競争力とのバランスのとれた量的拡大を目指していく方針だ。
その一方で、「狭小部塗装」のような独自技術が、企業組織内の異質の融合により生まれ始めている。トヨタ関係者ではなく、一部の車好きな消費者から見た「もっといいクルマづくり」が、実現できる可能性は膨らんでいるといえよう。
不特定多数から必要とされる車づくりと、特定少数から愛されるクルマづくりとのメリハリが、これからのトヨタに求められそうだ。(経済ジャーナリスト 永井隆)
【用語解説】トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)
トヨタ自動車の新たな部品共通化戦略。車の基本となるプラットホーム(車台)やエンジンなどを一体的に開発し複数の車種で共通化、開発力強化とコスト削減を両立させる。今年発売する新型車から採用、2020年ごろまでに世界販売台数の半数に導入する方針。