【浜松物語 「やらまいか」精神を訪ねて】(20)手加減大切に「うなぎパイ」 □山崎泰弘・春華堂社長(1)
--1969年に「うなぎパイ」が誕生して46年がたつ
「新商品の開発に取り組んでいた先代が、旅先で『どこの人か』と尋ねられ、浜松と答えたが、相手の人は浜松を知らなかった。『浜名湖の近くだ』というと『うなぎのおいしいところですね』と分かってもらえた。そこで、浜松名物のうなぎをテーマにしたお菓子ができないかと考えた。その頃はまだ珍しかったパルミエというフランス菓子のパイをベースに、職人がうなぎの形に似せようと試作を重ねた」
「当時は高度経済成長期で女性の社会進出が進み、家族が顔を合わせる時間も少なくなった。そこで、忙しい家族が集う夜のだんらんの時間に、コーヒーやお茶と一緒に食べてもらいたいという思いを込めて『浜名湖名産・夜のお菓子 うなぎパイ』と名付けた」
--菓子作りのモットーは
「昔からいう『手加減』が大切だ。『うなぎパイ』でも材料の混ぜ方や、数千層におよぶ繊細なパイ生地の折り方を、日々変化する温度や湿度に合わせて職人が調整している。砂糖も、生地を折る際に、職人が手で振っている。計量してみると、(生地表面に)ほぼ均等に砂糖が行き渡っている」